夢で逢いまっしょい!

森博嗣夢・出逢い・魔性」を読んだ。
森博嗣はここ何年かずっと読んでるけど、久しぶりにお得意の「やられた!」感を味わえました。

タイトルの英文の言葉遊び(英題は「you may die in my show」)がずっと気になってて早く読みたかったんだけど、一応時系列順に追っていきたくて、ようやくたどり着きました。
いつも林警部と紅子さんのやり取りがいちいちセクシーで好きだったんだけど、今回ずっと東京だから林さん出てこないんだね・・・ちょっとがっくし。おっさーん

人は誰しも誰かの皮をかぶっている。

後半のある章で語られる、今回の森 博嗣的思想(勝手にこう読んでいる。登場する天才達の価値観や理屈がそのまま作者の思想に感じられてならないから)
それがまあ、今回の物語の核でもあるんだけど、とっても共感できた。なんて言うか、自分と似てるかもしれないと初めて思った。「カメレオンマン・ゼリグ」(周囲の人物そっくりに擬態できる男の一生を描いたフェイクドキュメンタリー映画。面白いよ。)を予備校で初めて観た時にまんま自分の事だと思ったぐらいだし。
周囲に同化する、擬態する事で自分を保持しようとする、と同時にアイデンテティの不在を感じる、そんな人は今の世の中特に多いと思う。そんな人が読むと考えるきっかけになるかも。

今回一番おいしい人(と勝手に思ってる)稲沢さん。読んだ人はたぶん抱いてる印象違うと思うけど僕はこうでした!

「永遠のこどもたち」のはなし

ギレルモ・デル・トロ製作
永遠のこどもたち」をDVDで観ました。その感想です。(ネタバレ有かも)


デルトロ調のサスペンス演出が良かった。この人の作ってるサイレントヒルがますます期待大になりました。
(監督はJ・A・バヨナさんですが)暗闇の演出が上手い!怖い!暗視カメラごしのアングルとかやめてマジで・・・
でも随所で(音楽とか特に)サスペンスでなくてファンタジーなんですよって言う「抑え」が感じられました。
スプラッタとかグロはストレートに見せるんだけどね・・・笑っちゃったけど、製作の悪意を感じるなあ^^;
あと主人公のお母さんね、ジョディフォスターばりのヒステリックさが印象的でした。でも綺麗な人だよね。

ただラストに関しては、、謎の明かし方も衝撃的なんだけど、ほとんど「パンズ・ラビリンス」を見終わった時と同じ印象。
そんな!!・・・ん、でもなんか綺麗・・・でもやっぱりひどい・・・的な。


今後の勉強になりそうなので、プロットに起こしてみよう


主人公の女性が幼い頃過ごした孤児院(現在は空屋敷)に夫と息子とともに移り住み、自分も小さな孤児院をはじめようとする。
イマジナリーフレンドとの遊びをずっと続けている息子(実は養子)がある日突然いなくなる。

半年の月日が過ぎる。主人公は夫とともにあの手この手で息子を捜す。その過程で、自分が引き取られこの建物から去って間もなくの頃、ほかの孤児達が何者かに殺され死体はまだ見つかっていない事実を知る。

子供達の霊が息子を道連れにしようしている、と考えた主人公は、かつての孤児院の内装を再現し、子供達の霊と遊ぶことで息子を返してもらえるよう試みる。

息子の亡がらが発見され、真相が明らかになる。
主人公は自らの過ちを悟り、子供達の霊に加わる事で息子と自分の魂を浄化させる。

こんなとこかな。

死ぬ事に魂の浄化を求めるのはお国柄なんでしょうか。それともデルトロが好きなだけ?
同じくスペイン映画で「ミツバチのささやき」が、幼少期の「陽」で扱っているとしたらこの作品は「陰」なのかな。どっちも好きだけどね。

なんていうか、大人になれなかった子供達の魂ってモチーフが内包してる幼少期の死生観やノスタルジーは凄く曖昧なものだと思うんですが、「ミツバチ」が目に見えない物を幼少時の風景や視線を使ってニュアンスを醸す程度におさめてるのに対して、
こっちはしっかりキャラクターとしての幽霊、現象としてばしっと描いてるところが印象的。


全体としては綺麗でした!(適当過ぎ←)